2023年9月4日月曜日

カンラン科のコーデックスの種まき (Boswellia, Commiphora)

カンラン科のボスウェリア属 Boswellia やコミフォラ属 Commiphora の種をまきました。

ボスウェリア属とコミフォラ属は、それぞれ乳香(フランキンセンス)と没香(ミルラ)の原料になる種を含むグループです(写真はBoswellia neglecta)。

ボスウェリア・ネグレクタ Boswellia neglecta

7月13日に7粒を播種。購入元は多肉植物ワールドさん。種子(果実?)には大きな突起があります。

アフリカ東部のソマリア~ケニアに分布(Schmiech et al. 2021など参照)。自生地に近い都市(ソマリアのやエチオピアのマンデラ)は砂漠気候BWで、年間を通して最低気温20~25℃(10℃は下回らない)、最高気温30~35℃(時に40℃以上に達する)、降水量は年200~300 mmで、3~5月ごろと10~12月ごろに集中するようです。
私の住む瀬戸内沿岸では、上述の気温に近いのは6月~9月ごろの4か月程度しかないので、盛夏に一度水やりをやめるのは得策とは思えません。高温期はよく水やりし、秋以降は断水ぎみで管理するのが良いのではないかと考えられます。


7月21日

1粒発芽しました。

7月27日

本葉が出てきました。
双葉は手の指のように深い切れ込みがあります。
奥ではもう1つ発芽しています。

7月31日

早くも4枚目の本葉が出てきました。1~2日に1枚のペースで出ていることになります。
自生地では1回の雨季が2ヵ月程度なので、初期成長が早いのかもしれません。

8月19日

かなり大きくなりました。先に発芽した個体の新しい本葉は、小葉が6対あります。
最初は三出複葉で、本葉が出るたびに小葉が1対ずつ増えていく感じです。

9月4日

ぐんぐん成長し、高さは大きな個体が高さ7.5 cmで根元直径7 mm、小さな個体が高さ4 cmで根元直径6 mmになりました。美しい羽状複葉を広げ、一番新しい葉では小葉が9対です。

根元は胚軸(双葉より下)の部分が肥大しています。

茎や葉柄には短毛が密生しています。

新芽はまだまだ伸びそうな雰囲気です。

ボスウェリア・サクラ Boswellia sacra

6月7日に11粒を播種。購入元はシードストックさん。
ボスウェリア・ネグレクタよりも一回り小さな種子です。

アラビア半島半島部のオマーン~イエメンに分布。残念ながら、9月4日時点では発芽していません。煙成分が発芽に有効との情報を見たので(参考:Cats and Lantern「ボスウェリア サクラ 実生② 発芽!」)、草木を燃やした灰をかけましたが、反応なし。ボスウェリアの種子は発芽させるのが難しいとのことなので、やり方が良くなかった可能性もあります。

コミフォラ・ワイティ Comipphora wightii

6月7日に6粒を播種。購入元はシードストックさん。

インド西部からパキスタンに分布し、樹脂は「グッグル」の名で薬用などに用いられます。IUCNレッドリストでCR(絶滅危惧I類)に位置付けられる希少種(参考:The IUCN Red List of Threatened Species: Commiphora wightii)

自生地周辺の気候(ラージャスターン州のジャイプルを参考)は、冬季(12~2月)は最低10℃前後、最高30℃前後でまれに氷点下、雨季前の4月~6月は最高40℃以上の酷暑、雨季の7月~9月はやや気温が低下するようです(といっても最高35℃以上)。降水量は年600 mm程度で、雨季の6月~9月に集中します(参考:Wikipedia ジャイプル

私の居住地においては、コミフォラ・ネグレクタと同様に高温期はよく水やりし、秋以降は断水ぎみで管理するのが良さそうです。

6月7日

前日の晩から種子を水に浸けたところ、早くも発芽の兆しが見えています。

6月16日

双葉が出てきました。

7月5日

今のところ4粒が発芽。一つの種子は多胚性だったようで、1か所から3つの芽が出ています。
最初に発芽した個体は本葉が出ています。葉をちぎると、針葉樹を思わせるさわやかな香りがしました。

7月17日

もう1本発芽しました。

8月19日

しばらく順調に育っていましたが、一旦成長が止まり、古い葉が落葉しています。
猛暑で弱っているのか、元々の性質なのか、どちらなのでしょうか。

9月4日

暑さが少し収まったためか、再び新しい葉を展開し始めました。
9月4日時点で、一番大きな個体は高さ6 cm、根元直径4 mmです。






参考文献:
  Schmiech et al. 2021. 11-Keto-α-Boswellic Acid, a Novel Triterpenoid from Boswellia spp. with Chemotaxonomic Potential and Antitumor Activity against Triple-Negative Breast Cancer Cells. Molecules 26(2):366.
  online. The IUCN Red List of Threatened Species: Commiphora wightii. https://www.iucnredlist.org/species/31231/50131117.

2023年7月23日日曜日

2023年3月~7月 ウンカリーナ・ルーズリアナ(Uncarina roeoesliana)の植え替え~開花

2021年5月に播種したウンカリーナ・ルーズリアナ Uncarina roeoeslianaの様子です。

3月30日

2021年に植え替えましたが、かなり窮屈になっていたので、再度植え替えることにしました。

掘り起こすと巨大な塊根(塊茎?)が姿を表しました。

塊根は土中に埋めた方が成長が良いのかもしれませんが、今回は少し露出させて植えることにしました。

4月28日

新芽が出てきました。

先端の様子。

5月6日

気温の上昇とともに、一気に展葉してきました。

5月27日

4個体とも、元気に葉を広げています。

一番大きな個体。
ぷっくりふくれた塊根と濃緑色の葉の組み合わせが格好良いです。

6月11日

順調に成長しています。
我が家のベランダの一番日当たりが良い場所に置いています。

7月5日

ますます葉を広げています。ウンカリーナ・ルーズリアナは、株サイズの割に葉を横に広く広げるので、1株ずつ別の鉢に植えるのが良いです。

そして…

葉の付け根につぼみらしきものが付きました!
種まきから約2年、予想以上に早いです。

7月10日

つぼみは順調に育っています。

7月13日

開花しました!鮮やかな黄色の美しい花です。
葉に隠れるように咲いていたので、花の位置を少し調整してから撮影しました。

横から見た姿。花は筒部がかなり長いです。自生地では口吻がかなり長い昆虫が花粉を運ぶのかもしれません。

この記事を書いた7月22日時点で、4株中3株が花を咲かせています。受粉させて、ウンカリーナUncarina の属名(ラテン語でフックの意味)の由来となったトゲだらけの果実を見てみたいものです。

2023年6月~7月 フィランサス・ミラビリス(Phyllanthus mirabilis)の種まき~発芽

6月6日

フィランサス・ミラビリス Phyllanthus mirabilis(ミカンソウ科)の種子を購入しました。購入元は多肉植物ワールドさん。おまけを含めて9粒です。

成長した株は割合流通しており、我が家にも2020年に購入した株があります(以前の記事)。
一方、種子の販売を見かける機会は少なく、播種に関する情報は皆無に近いのではないかと思います。

種子は大きさ5 mmくらいで半円に近い形状です。

前述の通り、種まきにあたっての情報が見当たりませんでした。我が家で育てている株が毎年6月ごろに展葉を始めることから、気温が十分に上がった6月に播種することにしました。

一晩水に浸け、6月7日に播種しました。

7月9日

発芽しました!
まいてから1か月ほど反応がなく、諦めかけていたのでうれしいです。
7月17日

本葉が出てきました。赤銅色を帯びた葉は、いかにもフィランサス・ミラビリスらしい見た目をしています。

もう1粒発芽しました。

7月21日

先に発芽した個体は本葉が4枚に、後から発芽した個体も本葉が2枚になりました。
成長スピードはかなり早いです。

7月22日

こちらは2020年に購入した株。今年も元気に葉を広げていますが、幹には目に見えた成長がありません。

実生個体とのスリーショット。実生個体が大きく育つには、どのくらいの年月が必要なのでしょうか。

2023年7月 ウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)の播種、発芽

2023年7月13日

ウェルウィッチアWelwitschia mirabilis (キソウテンガイ,サバクオモト)の種子を購入しました。購入元はseed stockさん。1粒おまけで6粒でした。

ウェルウィッチアは2013年に種まきして栽培しましたが、途中で枯らしてしまいました(当時の記事)。

当時は比較的安価で購入できたのですが、その後は入手しづらくなり、手を出していませんでした。
2023年になって少し流通が増えたので、再挑戦することにしました。

7月14日

種皮をむいて一晩メネデール、ベンレート溶液に浸けてから播種しました。

用土は真砂土、川砂、くん炭、バーミキュライトの混合、表面にはバーミキュライトを敷き、根が入りやすいようにしました。

7月21日

かなり発芽、発根してきました(18日ごろから発根が始まっていましたが、撮影しそびれました…)。
カバーはかけず、半日陰で腰水管理を続けています。気温は23℃~33℃で推移しています。
発芽が早かった個体。赤色の双葉を伸ばしています。

ウェルウィッチアの種子には、芽が出る側と根が出る側があるようです。ただし、根が出る側が上向きであっても根が下向きに伸びるので、大きな問題はないようです。

芽が出始めている個体。

7月21日現在で4粒が発芽しています。残る2粒も腐ったりはしていないので、発芽してほしいと思います。






2023年4月1日土曜日

翔鳳(Cheiridopsis peculiaris)が開花 (2022年秋~2023年春の記録)

2022年9月23日

2020年に種まきしたCheiridopsis peculiaris(翔鳳)です。
3シーズン目の今秋も、無事に休眠から目覚めました。

10月28日

大きな個体は、葉を広げました。

12月3日

株サイズが大きくなり、大型個体が小型個体を圧迫するようになってきました。

この後、大型個体と小型個体を別の鉢に植え替えました。

1月16日

植え替え後も順調に育っています。

小さな2個体は、根が枯れて新葉がなかなか育ちませんでした。
根元の枯れ葉を取って植え直したところ復活しました。

最初に発芽した8個体すべてが生き残っています。

一番大きな個体は、芽が二つに分かれています。ネット情報によると片方は花芽の可能性がありそうです。

3月4日

寒さと直射日光で赤色を帯びていますが元気です。
一番大きな個体は蕾が伸びてきました!

横から見たつぼみ

3月13日

つぼみがさらに伸びてきました。花びら(仮雄ずい)も顔をのぞかせ、まもなく開花しそうです。

3月19日

開花しました!晴天の日中しか花を開きませんが、運よく休日に咲いてくれました。

種から芽生えて約2年5カ月、うれしい初開花です。
3月20日

前日は半開でしたが、この日はしっかりと開きました。レモン色の花びらには光沢があり、日差しを浴びると輝きます。